2008-07-01から1ヶ月間の記事一覧

もっとも美しい言葉の本『日々の風景』

『日々の風景』を開く。 空が、海が、山が、野が、朝日が、夕日が、月が、緑が、青が、赤が・・・ この日本の全てが輝き始める。 セピア色の世界から1677万色True Colorの世界へと誘われたかのように。 きどったところのない、なにげない一冊。 この国に現れ…

タイムトラベルの古典『夏への扉』

時間移動を表現したSFの古典、らしいが・・・。 昨夏に読んだ『星を継ぐもの』の感動が忘れられずに、時々SFを手に取っている。 仕事、恋人、全てを失い、この時代への未練を無くした主人公。 裏切りから狂った人生を修正すべく、冷凍睡眠を利用し未来へ。 3…

書く技術についての本は多かれど、ノンフィクションの書き方についての好著は稀有『調べる技術・書く技術』

あるテーマを設定し、それについて調べ、人に話を聞き、最後にまとめる技術を紹介するのが、本書のねらいである。 書き始めに7,8割の力を注げと断言する著者。そしてこれが本書の書き始めである。 大学の先生やらエッセイストやらコンサルやらの「書く技…

無駄を描く、無駄を活かす、それが志賀直哉が「小説の天才」たる所以『暗夜行路』

普通、物語には無駄がない。 関係ないと思われた序盤の事件が後半に効いてきたり、ミステリーの謎を解く鍵であったりと精密に組み立てられた論理がある。 ところが、我々が生きる生はどうか。 一年前の出来事と、今の自分との間に明確な因果関係を見出せる人…