小説のように生き生きした歴史書『フランス革命史』

フランス革命史〈上〉 (中公文庫)
本を開くといきなり80ページの解説by訳者。
だりーなーと思いながらも読んでみると、どうも様子がおかしい。
解説のクセに妙におもしろい、ワクワクする、早く本編が読みたくなる。

『オィオィオィオィ
もしかしてこれ大物じゃねぇの?????』
という期待がムクムク膨らんでくる。
はちきれんばかりの高揚感と期待を本編は受け止めてくれる。
予感は的中。

ルイ16世が、マリーアントワネットが、ミラボーが、ロベスピエールが・・・
生きている。
しかもピチピチと。

しかし彼らは主人公じゃない。

もっとビンビンな奴等がいる。
人民である。
そう、本作品の主人公は人民。
表紙の絵を見てもらえば如何にビンビンかが伝わってくるだろう。

まさに「活写」とはこの本の為にあるような言葉。
これほど躍動感に満ちた歴史書は稀。

カエサルによって可能な限り客観的に書かれた歴史書が『ガリア戦記』であるとすれば、
ミシュレによって可能な限り主観的に書かれた歴史書が『フランス革命史』
そのあまりのコントラストが面白い。

歴史を紡いでいく際には、事実、とりわけ客観的事実なんてものが重んじられているわけだが、結局どこまでいっても客観的事実を最後に繋ぎ合わせるのは想像力。
ならばこそ強力に想像力をかき立てる本書の様な本こそ、歴史を作ってきたと言っても過言ではないかもしれない。