「○○戦争」そのネーミングに既に計略あり『英仏百年戦争』

英仏百年戦争 (集英社新書)
この著者ニクし。

ジャンヌダルクやヘンリー五世といった有名人がいることからもこの戦争を知っている人は少なくない。

が、この戦争の継起がどのようなものかを知っている人は意外に少ない。


英国と仏国の戦いではないのに「英仏百年戦争」などという言葉が市民権を得ていることがその何よりの証拠。

この戦いはイングランドとフランスの戦争。
より性格にはフランス国内の紛争に過ぎないというのが史実。

イラク戦争、イランイラク戦争ベトナム戦争などなど・・・
国と国との戦争を経験してきた近代以降の私たちにとって

“戦争とは明確に隔てられた国家間の争い”

そう理解できるものでなければ気に入らないらしい。
これは一つのステレオタイプである。

著者はこの“内紛”を通して見事にそれを書き得ている。