ロシアの内外を知り尽くした著者によるロシア案内『ロシアは今日も荒れ模様』

ロシアは今日も荒れ模様 (講談社文庫)
「ロシア人=大酒呑み」
この認識は間違ってはいないが正確ではない。
「大酒呑み」などという生易しいものではない。
「情熱的」乃至「熱狂的」とでも言おうか、
兎に角、彼等の“ウォッカ”への情熱は凄まじい。

酒の飲みすぎで仕事が出来ないのなんて序の口、
国民の半分が生活習慣病にかかろうが、
平均寿命が60歳を下回ろうが関係なし、
彼らは飲み続ける。

そんなロシアも十数年前までは社会主義国家であり、
極端に中央に権力の集まる国だったはず。
クレムリンは国がウォッカに蝕まれていくのを手をこまねいて傍観していたのだろうか。
そんなことはない、全土に節酒令を出したのだ。

その結果が次。

まずアルコールを含有する化粧品が店頭から姿を消す。

続いて砂糖が街から姿を消す。
砂糖を溶かし、イーストを混ぜると酒が出来るからだ。

ジャム、菓子などの砂糖を含むものが市場から消える。

歯磨き粉も売り切れ。
砂糖を含むから。

靴磨きまで姿を消す。

経済混乱のため節酒令中止。

ちょwww靴磨きてww食うのかよw

さすがに靴磨きは“直接は”食べない。
トーストに厚く塗り、しばらく待つ。
パンにアルコールが十分染み込んだところで表面を削って食べるそうだ。


そんな熱し始めると最後の一滴まで蒸発するような情熱的なロシア人を見ていると、
ドストエフスキーの様な巨大な作品群を世界に提供し、
ロシア革命を成功させ、
史上最初の社会主義国家を打ち立て、
世界に先駆け宇宙へ足を踏み入れ、
ソ連を崩壊させることが出来たのも納得できる。